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CG/CAD,造形デザイン教育と評価方法

第38回図学教育研究会のお知らせ


第38回図学教育研究会
テーマ:CG/CAD,造形デザイン教育と評価方法

■テーマ:「CG/CAD,造形デザイン教育と評価方法」
 CG/CAD,造形デザイン教育が多くの大学で行われている。その教育結果として学生からの提出物、作品がある。知識を問う問題でなく、画像や映像などの製作結果を評価する基準はさまざまな視点がある。教育目的と教育内容に対応した評価が各大学で行われていると考える。本研究会では日頃からこのような学生の作品評価を行っている方々から、5件の発表がある。発表者の方には、教育目的、教育内容、課題のほかに学生の提出物や作品、その評価表方法などを紹介していただく予定である。
■日時
2006年12月3日(日) 午前9時から12時30分
■場所
静岡文化芸術大学 ( http://www.suac.ac.jp/ )
静岡県浜松市中央2-1-1
 
●9:00-9:30 (発表25分、質疑応答5分)
  (1)画像処理アプリケーションを用いたロゴ製作を通しての図形教育と評価方法
   大月 彩香  九州大学大学院工学研究院
  九州大学の学部低学年生に対する全学教育のうち、図学関連科目の一部を担当しているが、ホームページ製作に関連したロゴ製作を通して「立体感と陰影」をテーマに画像処理アプリケーションを用いた教育を行っている。近年、芸術系の学部ができ、そこに所属する学生が多く受講するようになり、人気が高くなったと同時に作品のレベルも満足できるものになった。本年度の講義内容と提出レポートの評価を通しての知見について報告したい。
 
●9:30-10:00
  (2)学生の視覚における3次元形態把握の実態とその描画表現に対する評価
  佐藤 聖徳 静岡文化芸術大学
  デザインや美術造形の領域では、手元での手作業による作図や描画が欠かせないが、まず初めに、描画道具としてのパソコンを使わない作業の中での形態把握の基本を身に付けることの大切さを認識したい。そこでの基本作業の中で作図やデザインスケッチを教え評価することが大変重要であると同時に、CADや3D描画ソフトを使用した効率のよい教育法方の確立が必要となる。ものを眼でしっかり観察することが空間把握の基本になり、それに伴う必要な知識を身に付け、そこから理論と描画表現の矛盾を発見して埋めていくことが、学生の作図、デザインスケッチのレベルアップと評価のリアリティー向上につながるのだろう。。
●10:00-10:30
  (3)投影法の理解度を評価するための誤った図の活用
  鈴木広隆 大阪市立大学大学院工学研究科都市系専攻
  大阪市立大学において、投影法の理解と作図法の習得を目的として開講されている図形科学Tではこれまで、成績を評価す るための学期末試験として、投影法に関する知識を問う穴埋め文章題と、直軸 測投影図及び透視投影図の作図問題を出題してきた。近年、大阪市立大学にお ける図形科学教育は、設計製図教育の入門科目ではなく、図を介して適切なコミュニケーションを図るためのスキルと知識を習得することに重点を置いた科目に変化しつつある。そこで2006年前期より、前述の内容に加え、誤った図を提示してその理由を説明させる問題を出題した。本報告では、誤った図の理由に応じた回答の傾向についての検討結果を発表する。
●10:30-10:50
  休憩
   
   
●10:50-11:20
  (4)与えられた素材のポテンシャルを活かすことを目的とした立体造形デザインの図的評価方法の試み
  石松丈佳  名古屋工業大学 建築・デザイン工学教育類
  現在、与えられた素材の大きさ、形状、素材、性質など、ポテンシャルを活かすことを目的とした立体造形系デザインの課題を行っている。その評価は,発想力、表現力、技術力などいくつかの観点から、極力客観的な評価となるよう心掛けているが、本課題に限らず、造形デザイン系の授業では,その成果やプロセスを評価する基準は様々であり、時として同じ課題であっても視点によって多様な評価が与えられる事例も少なくないと考えられる。今回、従来行っている授業の具体的内容と目的、成果物を紹介し,その評価方法について、従来与えている評価と、あらためて実験的に成果を図的に評価し、その比較を試み、その特性や適性を検証し、造形教育の計量的評価の可能性を探る基礎研究のひとつと位置づけたい。
●11:20-11:50
  (5)アートのヴィジュアルリテラシー教育としての評価
  茂登山清文 名古屋大学大学院情報科学研究科
  発表者は,2006年6月よりアーティストたちの協力の元に,コンテンポラリーアートの作品を一カ月に1.2回の頻度で,名古屋大学情報科学研究科棟のエントランスロビーに展示している.アートは,学生が通常接している論理的,分析的な思考とは異なり,視覚的な理解を基本としている.そこには必ずしも「正解」があるわけではなく,その意味でも,ヴィジュアルリテラシー教育に有効であると考える.また授業にアーティストを招くなどして,その話を聴き,言語を通じた理解のための機会もつくってきた.これまでは,その効果測定のための調査などはおこなってはこなかったが,本研究会では,アンケート等,基本的な調査をもとに発表する.
●11:50-12:30
  (6)総合討論