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日本図学会第12回デジタルモデリングコンテスト

第12回デジタルモデリングコンテスト実施報告


実行副委員長       
西井美佐子 Misako Nishii

COVID-19の感染拡大防止の観点から,図学会大会がオンライン大会となったことから,併催する本コンテストも,大会のオンライン会場にて,プレゼンテーションを実施した.
コンテスト受賞作品を掲載する.
 

審査基準   

コンテストは,機構を持つ立体構造の考察,立体的な発想を喚起することを目的し,以下のような審査基準を設けます.
  • 発想やモデル製作を考慮した3次元データ構築及びデータの造形力を総合力で評価します.
  • これまでの切削技術や一体成型では製作することが困難だった複雑な機構や幾何学的図形を実体化するなど3Dプリンタを利用することによって実現が可能になった立体構造の新規性を評価します.
  • 教育・資料用作品は,図学,造形,設計,製図・加工の機械工学など,教育分野で教材として効果的利用法が見える3D立体モデルを評価します.
この基準をもとに下記の4項目を評価します.
  • 発想
  • 3次元データ構築
  • 造形デザイン
  • 新規性
  • 教材としての効果的利用法

各賞

最優秀賞:原則1件
優秀賞:原則1件
審査員特別賞:若干数
 

審査結果

受賞一覧
最優秀賞 パラメトリック・ピサの斜塔―視覚障害者のCAD手法の実例として― 南谷 和範(独立行政法人大学入試センター)
優 秀 賞 変身タイリング「銀杏の舞う正方格子」 杉原 厚吉(明治大学)
審査員特別賞 該当無し(エントリー取り下げにより無効)  
 
最優秀賞
 

審査員のコメント

  • 視力0という条件における,3次元モデル作成の方法論について論じていることに,大きな価値がある.触覚を用いた形状認識方法と3D CADの組み合わせは,アクセシビリティの観点からも大きな価値がある.発展性が高く今後楽しみな研究である.
  • 良くない例として言われている「群盲象」に鑑みていえば,これを逆手にとって,断面形状に要約してパラメトリックな形状を評価しようとする考え方が「個の事実」から対象全体を立体的にとらえようとする手法と触覚による形状イメージの把握がどのように繋がれているかを考えるうえで興味深い.
  • CAD利用による形状に対する主観評価によるさらなる発展が期待できる.
 
優秀賞
 

審査員のコメント

  • 今までの錯視の手法を発展させていることやプログラムによる錯視立体で,視覚と立体の関係をうまく取り扱っている.
  • CG画像だけでなく,立体としてみることができるので,人に興味を持ってもらうことができる.そして美しい造形である.
  • 単純なタイルが複雑なタイル模様になるところも評価できる.ただし意図した形状が見える範囲の問題は残る.変身タイリングの実用化への用途に期待する .
  • ショートプレゼンで紹介された画像,神社のお賽銭箱の実用化作品も美しかった.

3Dプリンタでの出力サービス情報の提供    

3Dプリンタでの出力協力では,賛助会員のアルテック株式会社様が参加された.
造形機が身近に無く外部の出力サービスを検討されていた方へ,サービスの選択肢の情報を提供できた.そして,以前から3D造形に関わっている方にとっては,知識や技術をさらに向上させる機会として,普段使用されない機種での実際の造形を試作する機会となり,より良いモデリング実践における発展的な場の情報を提供できた.

謝辞    

松田 浩一(岩手県立大学)
コンテスト開催に関わった大会実行委員の皆様やスタッフの皆様,デジタルモデリング研究会の担当委員のご協力によって,今年度もトラブルなく実施することができた.この場を借りて御礼申し上げる.