2023年度日本図学会賞選考結果報告
日本図学会賞選考委員会
受賞者:正会員 椎名久美子氏(大学入試センター)業 績:空間テストの解答過程に関する研究
業績概要:
椎名久美子氏は,図学教育による空間認識力の育成効果を客観的指標によって評価するというテーマに1990年代から着手しました.空間テストを用いた検証に取り組む上で,解答過程や解答方略に着目することにより,このテストが空間認識力のどの面を評価しているのかを実証的に示す研究を行ってきました.1990年代には,解答者が正答や誤答に至る過程をアイカメラによる視線追跡や解答者の発話等のデータに基づいて分析した研究に取り組み,研究成果を原著論文や,国内学会および国際会議で発表してきました.その後も,1999年から2000年の在外研究時には,空間テストをパソコン画面に提示して,各選択肢の正誤判断にかかる時間を取得する実験を実施し,2010年代には,空間テストの問題冊子に描き込まれたメモから解答者の方略を推定しました.
氏の研究業績の骨子は,空間テストの解答過程および解答方略の推定のために,先述のとおりアイカメラによる視線追跡や解答者の発話のほか,問題冊子に描き込まれたメモを加えるなど様々な手法を用いた研究成果を国内外に発信してきたことです.空間テストの解答過程に関する一連の研究成果は,テストの妥当性(特定の能力が測定できているか)を示すエビデンスの一翼を担うものであり,空間認識力の育成効果の評価にいずれの空間テストを用いるかを検討する上で有用な知見となるものです.
以上,空間認識力評価および図学教育の発展に対する椎名久美子氏の寄与は多大であり,その業績は本学会賞受賞に相当するものと認められました.

