日本図学会第8回デジタルモデリングコンテスト
日本図学会第8回デジタルモデリングコンテスト実施報告
第8回デジタルモデリングコンテスト実行委員長
西井美佐子 Misako Nishii
西井美佐子 Misako Nishii
2014年11月29日,30日に開催された「日本図学会秋季大会」の開催に合わせ, 日本図学会第8回デジタルモデリングコンテストを実施した経緯, 結果を報告する. |
開催の目的
コンテストの目的は, 機構を持つ立体的構造の考察や立体的な発想による立体形状の製作について付加製造装置を用いた製作支援, 作品発表の場を提供, コンピュータを用いたデジタルモデリング技術の普及である.コンピュータを用いたデジタルモデリング技術や設計技術,造形技術の振興と普及を図る取組みとして,付加製造装置(3Dプリンタ)を利用して3次元データを実体化し,大会にて展示する.また,日本図学会ホームページに作品の意図やモデリング工程の概要含め作品を閲覧できるように公開する.
募集資格及び対象
個人および団体(会員及び一般参加も応募可)が応募資格である.応募作品の対象は,建築デザイン,工業デザイン,デジタルアート,ファッション等,ジャンル不問.テーマは自由である.
審査基準
「造形部門」は,発想と3次元モデルデータ構築の総合力で評価する.これまでの切削技術や一体成型では製作することが困難だった複雑な機構や幾何学的図形を実体化するなど,積層造形装置(3Dプリンタ)を利用することによって実現が可能になった立体構造の新規性を評価する.「アイデア部門」は,実体化が十分に検証されているものであれば,手描きスケッチによるデザインであっても応募可能とする.実体化が可能な形状をスケッチや投影図で表現されている且つ立体的な発想を喚起させる立体構造の新規性,構想力を評価する.
作品の応募期間
2014 年6月 1 日〜2014年 10 月 14 日応募作品数は,造形部門で9件, アイデア部門で2件であった.
審査結果
今年度の造形部門及びアイデア部門受賞者と作品を以下に示す.造形部門は,最優の秀賞1件,優秀賞2件,入選該当なし.アイデア部門は,最優秀賞該当なし,優秀賞1件,入選該当なしであった.
以下に,受賞作品のリストとWeb 3Dで作品鑑賞できる作品XVLデータ公開と作品解説を掲載する.
造形部門 入賞・入選一覧表
最優秀賞 | 多層球 2014 | スナダ セイジ |
優 秀 賞 | 変身する柱体「満月と星」 | 杉原 厚吉 |
優 秀 賞 | ひょうたんブロック | 松浦 昭洋 白根 弘士 近藤 悠馬 |
アイデア部門 入賞・入選一覧表
優 秀 賞 | 傾きマトリョーシカ | 藤井 健太 |
まとめ
造形部門の応募作品では,部品ごとのクリアランスやモデルの肉厚処理など,付加製造装置の仕様を考慮したフォローアップが必要な場面があった.応募条件でモデル実体化の検証を謳っており,現状でも検証項目である仕様を資料で提供しているが,活動の目的の1つである「コンピュータを用いたデジタルモデリング技術の普及」の促進を図るために,より充実した資料の整備や情報提供が必要と認識した.本デジタルモデリングコンテストの3Dプリンタ出力に関して多大なる協賛をいただいた株式会社アルテック,株式会社ストラタシス・ジャパンに深く感謝する.