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会長あいさつ

私どもは日本図学会に参加して日々教育・研究に従事しております。50年ほど前に図学教育の全国的な連絡組織、研究組織を作りたいという先生方の熱意が実を結んで創設されたのが本学会です。
 
当時、図学は狭義には図法幾何学を指しておりました。しかし、黎明期より本学会の趣意書には「図学とは図法幾何学だけでなく、各種の図形教育ならびにEngineering Drawing、Graphicsなど図形及びその応用に関するあらゆる分野を包括」「図学担当教官だけでなく、理工系の各分野ならびに造形芸術・応用心理学の分野で図形に関連する教育・研究に関心をもつすべての人々の入会を期待」と記されており、「図」の学を中心に、機械工学、情報工学、建築、美術・デザイン、被服学など多彩な分野の専門家が集まった、世界にも稀な学会に育っております。日々、この多様な応用領域をいかに発展させるか、会員は研究成果を発表し情報交換を重ねております。
 
「図」は人間の基本的な認識の手段であり、時代と共にその解析・表現ツールは様々に変化してきましたが、基本的に重要なテーマであることから、図学教育に関して本学会は非常に力を入れてきました。本学会設立の翌年にはすでに全国の大学、短大、工業高専を対象に教育の実態調査が行われております。また、毎年2回行われる図学教育研究会では教育をキーワードにワークショップなども取り入れ、活発な議論が行われております。
 
一方、国際的には図学に関する国際会議として最初のものといわれる図学国際会議が1978年より開催され、1988年以降は1年おきに世界各国で開催されております。このなかで、日本図学会は1996年から同国際会議の賛助学会として参加するとともに、会員の研究発表の場を提供するべく国際学会である国際図学会の設立や運営においても尽力してまいりました。今日まで300人を優に超す図学関係者が日本から図学国際会議に参加、発表して学んでまいりました。上で述べた日本図学会の包括する領域の多彩さは国際会議の方向性にも影響を与えていると自負いたしております。
 
以上、日本図学会の特徴は、「図」に関して幅広い分野の研究者を包括している点、将来の社会を担う若手の教育に力を入れている点、各国の図学関係者の期待に十分応えうる同輩を広く育てている点にあるかと思います。大会で若手研究者が額に汗しつつも思い切り発表している姿に、学会の将来を重ねたりしています。
 
今後、ますます情報化する社会にあって、「図」や「形」の持つ意味はさらに重要になってきます。ぜひ、日本図学会に入会していただき、研究成果の発表に、また、教育に関する議論の場にと、日本図学会の機能を十分に活用してみませんか。