日本図学会 > 日本図学会論文賞 > 3次元CADによる製図・設計教育が視点変換行為の形成に及ぼす効果

第7回日本図学会論文賞選考結果報告
日本図学会論文賞選考委員会

第7回日本図学会論文賞選考委員会は,2010年および2011年の『図学研究』に掲載された教育論文から,論文賞にふさわしい優秀な論文の専攻を行った.まず,編集委員および図学教育研究会委員の全員に,候補論文に対する順位付けを呼びかけた.その結果に基づいて,選考委員会はもっとも評価の高かった下記の論文を候補として選定し,理事会で報告して承認された.
 
2012年度第7回日本図学会論文賞(教育論文賞)
受賞者:正会員 藤田 眞一氏
受賞論文:3次元CADによる製図・設計教育が始点変換行為の形成に及ぼす効果
(図学研究第44巻1号掲載)
選定理由:
 本論文は,中学生を対象にした2次元製図(従来の手描きによる製図)と3次元CAD (Pro/DESKTOP)による製図を一体にした設計教育と視点変換行為形成プログラムを,中学校技術・家庭科の技術分野の授業で実施し,製図・設計教育の効果を検証している.研究は,研究T(視点変換の困難さの同定調査)で,プログラム開発の準備をしている.研究U(視点変換行為形成プログラムと其の効果)では,研究Iで得た結果によるプログラムを同じ生徒に実施した.そして研究V(視点変換行為の回顧プロトコル分析)として,ビデオ撮影と回顧プロトコルによって,その効果が検証されている.結論として,授業進行に伴って立体の視点変換行為が形成され定着するとのことであり3次元CADで立体を回転させて可視化することの効果が述べられている.本論文が,今後の初等図学教育に有益であろうことが推察され.期待を寄せるものである.なおこの実験のサンプル数189名は有為な数であり,丁寧に分析されていることも評価された.